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   オンかオフか、それが問題だ - 第五回 庶民の味方:ブッキーズ、ビンゴにお茶の間カジノ  
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第五回 庶民の味方:ブッキーズ、ビンゴにお茶の間カジノ

     

さて、前号まで上流階級や億万長者が集うカジノの事ばかり書いたので、今回は庶民のお楽しみを見てみよう。

豪華なカジノのイメージと全く正反対なのが、イギリス全国通津浦々にある「ブックメイカー」。元々は競馬の場外馬券売にあたる施設だったが、だんだんに何にでも賭ける、愛称「ブッキーズ」へと発展した。競馬やスポーツ試合予想はもちろんのこと、王族や芸能人が結婚/離婚するかどうか、今年のクリスマスに雪が降るかなど、とにかく何でも取り上げ勝率を36-1などと決めて賭けを張る。顧客は庶民と言っても、労働階級の、特に男性がマジョリティを占める。そして失業者。失業手当制度の良すぎるこの国では、彼らもブッキーズの上客だ。もらった手当をそっくり賭けにつぎ込む人も絶えず、店頭には「ギャンブル中毒?ヘルプラインへお電話を」という政府のポスターを貼る事が義務づけられている。

  ビンゴ・ホールの内部。現金を賭ける「キャッシュ・ビンゴ」のほかに、教会などの慈善活動として賞品だけもらえる所もある

<ビンゴ・ホールの内部。現金を賭ける「キャッシュ・ビンゴ」のほかに、教会などの慈善活動として賞品だけもらえる所もある>

     
ブッキーズの店内。上のテレビ画面では競馬やスポーツが中継され、壁面のスクリーンに結果がでてくる。

<ブッキーズの店内。上のテレビ画面では競馬やスポーツが中継され、壁面のスクリーンに結果がでてくる。>

 

ブッキーズの店内は外からは見えず、若い女性やご隠居さんが気軽に入れるところではないが、なぜか高級住宅地にも必ず一軒はある。しかし、住人らしき人が出入りしている様子が全くないのが不思議だ。全国に5万店以上あると言われるブッキーズにはチェーン系列が多く、最近では店内で高速インターネット接続を使いオンライン・カジノを提供したりと、学生などにもアピールを計る動きも出てきた。

     

読み上げられた数字を手元の紙の上で消して行き、直線に並んだら「ビンゴ!」と叫ぶゲーム「ビンゴ」は、参加者が多いほどエキサイティングだ。「ビンゴ・ホール」は、今もイギリスの田舎では娯楽の王者。村役場よりもこちらの建物が大きい、という所も決して珍しくない。テレビが普及するまではもっと盛んだった。工業地帯が繁栄していた頃は、工場主が労働者のためにホールを建てていたが、その後の産業の衰退のおかげで当時のまま使われている所も多い。自然が美しい英国のカントリーサイドに、場違いなハリウッド調のけばけばしい建物。それも老朽化した外見をさらしているのは悲しい光景だ。

  ブッキーズの外観。ここ「ラドブローク」はあのヒルトン・ホテル・グループの経営。

<ブッキーズの外観。ここ「ラドブローク」はあのヒルトン・ホテル・グループの経営。>

     
ブッキーズ大手「ウィリアム・ヒル」が始めたオンラインカジノ。店まで行かなくても家で楽しめる。

<ブッキーズ大手「ウィリアム・ヒル」が始めたオンラインカジノ。店まで行かなくても家で楽しめる。>

 

こちらも最近、イギリスのギャンブル規制の緩和に乗って、ホテルやカジノを経営するグローバル企業が進出をはじめた。「ハード・ロック・カフェ」のランク・グループはカジノ経営のノウハウもつぎ込んで、スロットマシーンやコンピューターゲームを擁する新「娯楽の殿堂」チェーンを築こうとしている。

一般家庭にブロードバンド接続が普及し出したのがやっと去年あたり、と言うインターネット後進国のイギリスに「お茶の間カジノ」は近年まれに見るブームをもたらしている。ネット接続している世帯全体のなんと2割が、一度はオンライン・カジノへのアクセス経験があるそうだが、半数以上がその事は他人には絶対言わないとか。品行方正が売り物のようなイギリス人達も、機会があればやっぱりギャンブルしてみたかったのネ、と笑いがこみ上げてくる。

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