第5回 白夜の国のカジノ~ギャンブルの神様には嫉妬心も届かない~

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世間が不況だとなぜ宝くじの売り上げは上がるのか? それはこの税金が高いスウェーデンにおいて、宝くじに当たることだけが唯一金持ちになる道だと信じられているからです。所得税は約30パーセント(もちろん収入が上がればこの率も更に上がります)、物品税は品物によっても違いますが通常25パーセント。現在1クローネを15円と計算すると、物品税を含んだ物価は日本とほぼ変わらないか、それ以上に高い印象を受けます。失業率も高いので、普通に労働していたのでは余裕のある暮らしは難しいというのが実感です。


<ロトやキノの記入用紙>


そこで、時間がある人はついついキオスクに足が向いてしまうというわけ。予想記入用紙を握りしめ、お店に備え付けのテレビカメラで競馬の様子や当たり番号の発表をじっと見つめます。とはいえ当たりそうでなかなか当たらないのが世の常。ほとんどの人は、宝くじの購入を一つの娯楽と割り切っているように見えます。

しかし中にはギャンブルに嵌まり込んでしまう人も、やはりいるようです。数年前、卓球の世界チャンピオンが新聞のインタビューで、自分がギャンブル中毒であることを告白しました。負けず嫌いで勝つまであきらめないチャレンジ精神も、スポーツで発揮されれば偉大な結果を生みますが、ギャンブルでは命取りになりかねません。


<願いをこめて>


そう言えば、スウェーデン人の国民性に「嫉妬心が強い」という要素が挙げられるそうです。そのため団体の中での平等・横並び精神が尊ばれ、目立ったことをしたり、お金儲けに積極的になることがあまり歓迎されません。私の近所に住むおばさんは、普段から「お金に執着するのは醜い」と言いながら、毎週宝くじの購入は欠かしません。そして買うときにはいつも「一発当ててやる!」とおなじまいをかけるのです。どうやらギャンブルの神様だけは、嫉妬心も届かないところにいるようです。

まあまあ、おばさんそんなに気張らないで。カジノ・コスモポールでも言われていた通り、大事なのは人生を楽しみながら、気分が乗ったら少し運試しに賭けてみる、そんな心のゆとりですよ。


<こんなに当選した人が>