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   犬も歩けば、カシノに当たる - 第5回 のまれちゃいけない。ただのゲームなんだから  
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第5回 のまれちゃいけない。ただのゲームなんだから

         

“勝った時点でおりても、気まずい思いをする必要はありません。当然ながら、そのまま勝ち続けることはまずないですし、何より賞金を手に帰宅できるほど、気分の良いことはないですから。カシノ遊びが楽しいものになるかどうかは、すべてあなた次第なのです”

これは、『ホランドカシノ』が利用客に配布している、表題のパンフレットの一節である。「勝ちが続くなんて思っちゃいけない」と公言して憚らないカシノは、世界広しと言えども、ここくらいではないだろうか。ビジネスとして考えれば、お客さんがツキを信じて、プレーを続けてくれた方が、はるかに好都合なはずなのに。

  パンフレットには、ギャンブル中毒に悩む人が自主的に入場制限を依頼するための書式もついている

<パンフレットには、ギャンブル中毒に悩む人が自主的に入場制限を依頼するための書式もついている>


アメリカのギャンブルコラムニスト、ジョン・G・ブロコップ氏  

アメリカのギャンブルコラムニスト、ブロコップ氏も、このパンフレットには驚いた。「ここには、アメリカじゃ到底考えられないようなことが書いてある。例えば、“カシノで遊ぶと、誘惑に負けて予算をオーバーしてしまうことがあります。出かける前に上限を決めて、それ以上はお持ちにならない方がいいでしょう”なんてね。責任ある賭博(Responsible gambling)の徹底したPRには脱帽だよ」

<アメリカのギャンブルコラムニスト、ジョン・G・ブロコップ氏>

         
興奮のひと時を楽しいままに終わらせるのもギャンブラーのたしなみ

<興奮のひと時を楽しいままに終わらせるのもギャンブラーのたしなみ>


 

収益を増やすことより、責任ある賭博への取り組みを優先する、オランダの官営カシノ。そのギャンブル中毒対策は国際的にも定評があり、専門スタッフが、ベルギーやスウェーデンなど他国に招かれて、カシノ開発を支援したこともあるほどだ。

では、具体的な対策には、どのようなものがあるのだろうか。

まずは、スタッフ教育だ。利用者と接触するスタッフは全員、研修でギャンブル中毒について学び、フロアマネージャーとカシノホストはさらに、中毒者の識別と中毒問題の解決法を習得する。また実際に、中毒予備軍の人を特定したり、面談をした件数は、業績評価にプラスされる仕組みになっている。

早期発見システムも確立している。入場時に、顧客のIDデータを中央コンピューターに登録して、全支店での来店記録を管理。3ヶ月間で月15回以上(18〜23歳なら8回以上)来店した人は、自動的に検出され、フロアマネージャーが面談する。中毒が疑われれば二次面談を行い、場合によっては、カシノへの入場制限や一年間の入場禁止が申し渡される。

そしてフォローアップ。入場制限・禁止処分が満期をむかえる人は、カシノへ復帰する前に、審査面談を受けねばならない。これで晴れて解禁となれば、その後一年間の来店頻度がモニターされる。ちなみに、この面談で解禁が認められるのは、全体の30%にすぎないというから、ギャンブル中毒克服のむずかしさが伺われる。

「中毒者を増やすことなく、ギャンブルの場を増やすことは可能だ」

そう主張する『ホランドカシノ』は、1995年以来、責任ある賭博に取り組む一方で、支店を増やし、ゲーム機を増設してきた。その結果、ギャンブルがらみのトラブルは、みごとに半減している。このオランダでの成功例は、世界のカジノ業界に、改めて、責任ある賭博のあり方を示してくれるものである。

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