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   トロントのカジノ事情 - カナダ人をアメリカから取り戻せ  
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カナダ人をアメリカから取り戻せ

  オンタリオ州の経済を救ったカジノ

     

オンタリオ州のカジノ設立は、はじめから州政府のアイディアだ。なぜ政府がカジノを作ったかというと、観光客寄せにもなるし税収入源になるというのもあるが、それよりもっと深刻な問題を解決しなくてはならなかったからである。

80年代にアメリカ - カナダ間の自由貿易協定ができ、関税が課されなくなったのがそもそもの始まりである。関税がないものだから、アメリカ国境近くに住むカナダ人たちは、地元で買物をせずアメリカ側にショッピングに行くようになってしまう。カナダは、医療費などはタダだが、その分、税金が高い。消費税も国から課されるものと、州税をあわせると15%なので、アメリカでショッピングをしてカナダに戻ってくるときに関税がかからなければ、物によってはアメリカで買ったほうが安いのだ。

  カジノモホーク
カジノフロア  

国境に近い所では店がつぶれはじめ、週末は暇になり、失業者がどんどん増えていった。トロントからでも、ナイアガラの国境を越えてアメリカに行くのに2時間もかからないから、みんなアメリカへ行く。“国境越えショッピング”という言葉ができたぐらいだ。そうこうしているうちに全体的な景気低迷も手伝って、1993年にはオンタリオの失業率は15%に達してしまう。

カナダ人は、「せめてガソリン税をゼロにしろ、そしたら流通費が安くなるからカナダに客が戻ってくる」などいろいろ騒ぎ立てた。そこで政府が、カジノをつくろうという提案をしたのである。カジノができれば娯楽・観光で人が集まる。ホテルや飲食店も必要になるので、就職口も増えるし、何もないところでは町興しにもなる、というわけだ。

もちろん最初はカジノ反対派もけっこういて、ギャンブルはよくないとか、犯罪が増えて治安が悪くなるのでは、という心配もあった。しかし、ためしに経営してみると、人が集まるわ、バイトや就職口は増えるわで、経済効果はかなりのものとなった。政府の策略は今のところ大成功している。

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